はじめに:赤ら顔の悩みとその原因
赤ら顔は、多くの人が抱える肌の悩みの一つです。顔の赤みやほてり、敏感さは見た目だけでなく、日常生活や精神的なストレスなどにも影響を与えることがあります。特に、敏感肌やアレルギー体質の方、エ肌のバリア機能が低下している方は、ちょっとした刺激や乾燥によって赤みがひどくなることもあります。
赤ら顔の原因はさまざまですが、血管が拡張して血流が増加することや、肌の炎症・刺激に対して敏感になることが大きな要因です。これらの肌状態を改善し、安定させるためには、適切なケアと成分の選択が重要です。
そのようなケアのために、非常に多く使われており、注目されているグリチルリチン酸ジカリウム(以下、グリチルリチン酸)について紹介していきます。
目次
1.グリチルリチン酸とは?—成分の基本的な特徴
2.赤ら顔に効く!グリチルリチン酸の主な効果
2.1抗炎症作用による肌の鎮静効果
2.2抗アレルギー作用
2.3刺激緩和作用
2.4線維芽細胞増殖作用
2.5肌のバリア機能をサポート
2.6赤み緩和に寄与するメカニズム
3.グリチルリチン酸の副作用
3.2リバウンド症状
3.3偽アルドステロン症
4. グリチルリチン酸を含むスキンケア製品の選び方
5.よくある質問(Q&A)
1. グリチルリチン酸とは?—成分の基本的な特徴
グリチルリチン酸は、甘草(カンゾウ)から抽出される天然の成分です。もともと漢方薬(生薬9として用いられてきましたが、その抗炎症作用や抗アレルギー作用が現代のスキンケアにも注目されています。敏感肌や炎症を抑えるための成分として、多くの化粧品やケア商品に配合されていることがあります。
この成分は、肌の炎症を鎮め、赤みやほてりの原因となる炎症反応を抑える働きが期待されており、敏感な肌にも優しく働きかけることが特徴です。
実際に医薬部外品などでも多く使用されているグリチルリチン酸は以下のような効果効能が厚生労働省によって認められています。
- 肌荒れ、あれ性
- あせも、しもやけ、ひび、あかぎれ、にきびを防ぐ
- ふけ、かゆみを防ぐ
- 日やけ、雪やけ後のほてりを防ぐ
- かみそり負けを防ぐ
グリチルリチン酸が使用されている商品は想像以上に多岐にわたります。
医薬品
風邪薬、うがい薬、口腔用殺菌トローチ、外用鎮痛薬、鼻炎薬、非ステロイド系点眼薬、胃腸薬など
医薬部外品
薬用スキンケア化粧品、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用リンス、日焼け止め、薬用育毛剤、薬用歯磨き粉など
そして、スキンケア用品にも含まれていますし、その他にも食品などにも多く含まれている天然由来の成分です。
汎用性が高いということは、つまり、それだけ安全性が高いということにほかなりません。
2. 赤ら顔に効く!グリチルリチン酸の主な効果
グリチルリチン酸は正しくはグリチルリチン酸ジカリウムと呼ばれますが、様々な呼称があり、スキンケア用品に含まれる場合、グリチルリチン酸2Kと記載されます。
その他にもグリチルリチン酸2K、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸K2、グリチノンK2、グリチルリチン酸ニカリウムと表示されている成分も、同じものです。
原材料は甘草(カンゾウ)ですが、甘い草と記載するだけあって、砂糖の250倍ほど甘く、甘味料(食品添加物)としても多くの加工食品に含まれています。
2.1抗炎症作用による肌の鎮静効果
グリチルリチン酸は、肌の炎症を抑える作用が強く、赤みや腫れ、ほてりといった症状を鎮める効果が期待されます。この作用により、肌荒れや刺激による赤みを和らげ、肌のコンディションを整える手助けとなります。
特にニキビや肌荒れといった炎症症状に対して効果的と考えられています。
2.2抗アレルギー作用
アレルギー反応に伴う肌のかゆみや刺激を抑える効果があり、アレルギーによる赤みを軽減する手助けとなります。
具体的には、肌の表面にはヒアルロン酸があり、ヒアルロニダーゼという酵素がヒアルロン酸の量を調節しています。
肌表面に刺激が加わることで、このヒアルロニダーゼが活性化しすぎてしまうと、ヒアルロン酸のバランスが崩れてしまい、かゆみが発症しやすくなります。
グリチルリチン酸ジカリウムにはこのヒアルロニダーゼを抑制する働きがあるので、アレルギーの発生を防ぐことができると考えられています。
2.3刺激緩和作用
何らかの成分が肌に触れたとき、「ピリピリ」「チクチク」とした刺激を感じることがあります。これを皮膚一次刺激といいます。グリチルリチン酸は安全性が高く刺激が少ないだけでなく、ほかの成分による皮膚一時刺激を和らげてくれる働きがあります。
2.4線維芽細胞増殖作用
真皮層内にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が肌のハリや弾力を保つ働きをしていますが、これらを線維芽細胞と呼びます。グリチルリチン酸は、線維芽細胞を増殖させる作用が確認されており、肌のハリや弾力をプラスする効果が期待されます。
2.5肌のバリア機能をサポート
肌のバリア機能が低下していると、外部刺激に対して敏感になりやすくなります。グリチルリチン酸は、肌の回復を促進し、バリア機能を強化するサポートをすると考えられています。特に、角質細胞の外側の膜を丈夫にする働きがあり、これがバリア機能の改善に貢献すると考えられています。
2.6赤み緩和に寄与するメカニズム
炎症や刺激による赤みは、多くの場合血管の拡張や血流の増加と関連しています。グリチルリチン酸は、血管拡張を抑えるわけではありませんが、炎症を抑えることで間接的に赤みを軽減しやすくします。
3.グリチルリチン酸の副作用
グリチルリチン酸を調べていく、副作用、という言葉が目につきます。
先に結論から伝えてしまうと、スキンケア商品として使っている分には一切問題がないと考えてよいでしょう。
具体的にどのようなことが言われているか紹介します。
3.1ネガティブフィードバック
「ネガティブフィードバック」とは、体内でつくられるホルモン以外のホルモンを摂取し続けた場合、ホルモンが過剰生成されている、十分に生成されていると脳が理解し、ホルモンを分泌することを自ら抑制する働きです。
実際、グリチルリチン酸は、人間の身体が自らつくり出している抗炎症成分「副腎皮質ホルモン」と似た働きをする成分です。
そのため、このようなことが言われていますが、一般的に副腎皮質ホルモンの中でもステロイドの結集濃度が高まった際に、ネガティブフィードバックが懸念されますが、グリチルリチン酸の方が穏やかでもあり、またスキンケア用品として利用している場合には一切心配いいらないと考えられます。
3.2リバウンド症状
いわゆるダイエットなどと同じ考え方ですが、グリチルリチン酸の使用をしているうちはOKだが、やめてしまうとまた再発するということです。
ただし、この点については、厳密に医薬品や医薬部外品、化粧品において、濃度の最大値が決められており、それを違反しているような高濃度のものでない限り心配はいりません。
3.3偽アルドステロン症
これは甘草に関連する漢方などを長期間にわたって服用を続けた際に心配される副作用ですが、上記同様に肌への塗布により問題になることは考えられません。
ここまで記載したように、長い歴史を持ち、化粧品や医薬品のみならず、天然成分であるがゆえに食品などにも存在しているグリチルリチン酸の一番の特徴はその安全性だと言えるでしょう
4. グリチルリチン酸を含むスキンケア製品の選び方
赤ら顔や敏感肌に悩む方は、成分選びが非常に重要です。グリチルリチン酸を配合した製品の中から、自分の肌状態に合ったものを選ぶポイントをご紹介します。
グリチルリチン酸だけを肌につけるわけではなく、様々なものが一緒に入っていますので、よく内容を確認して、商品選びをしましょう。
- 低刺激・無香料・無着色の製品を優先:敏感肌の方は、刺激になる可能性のある成分を避けることが大切です。
- 保湿成分とのバランス:グリチルリチン酸だけでなく、ヒアルロン酸やセラミドといった保湿成分も併せて配合されている製品が理想的です。
- 長期的な使用を想定:赤ら顔の改善には時間がかかることもあるため、継続的に使用できるシンプル且つ肌に優しい商品を選びましょう。
- 口コミや評価を参考に:実際に使用した人の声も選択のヒントになります。
5. よくある質問(Q&A)
Q1: グリチルリチン酸は敏感肌でも使えますか?
A1: はい、多くの場合において肌に優しく作用しますが、新しい製品を使う前にパッチテストを行うことをおすすめします。
Q2: 赤ら顔に特効薬はありますか?
A2: 赤ら顔の原因はさまざまであり、薬事上の効果を謳えるものは限られます。正しい診断とケアが重要です。
Q3: どのくらいで効果を感じられますか?
A3: 個人差がありますが、数週間から数ヶ月の継続的なケアが必要です。
まとめ —赤ら顔改善の第一歩
赤ら顔のケアには、炎症を抑える効果のある成分を選び、適切なスキンケアと生活習慣を実践することが重要です。グリチルリチン酸は、その抗炎症作用や肌の鎮静作用で、肌の赤みやほてりの改善に役立つ可能性があります。敏感肌や赤ら顔に悩む方は、まずは優しいケアから始めてみてください。